Dr.中川 がんサバイバーの知恵

タレント原千晶さんは手術から13年で発症…がん手術後のリンパ浮腫は放射線治療なら免れる

原千晶さん(C)日刊ゲンダイ

 化学放射線治療なら、リンパ節が残るため、リンパ浮腫にはなりません。下痢や胃腸障害、吐き気などはあるものの、一時的です。

 医原性とは、治療が原因で病気や障害が生じることを意味します。つまり、ガイドラインの改定前に子宮頚がんの手術でリンパ浮腫になったケースは、医原性といえなくもないでしょう。世界的には、化学放射線治療が治療の中心ですから。特に手術後に再発予防で(化学)放射線治療を受けると、リンパ浮腫リスクが高い。これでは、時間も費用もかかるので、最初から化学放射線治療がベターです。

 リンパ浮腫の治療は、リンパのうっ滞改善効果がある弾性ストッキングをはくのがひとつですが、根本的な解決にはなりません。リンパ管を静脈につなぐリンパ管細静脈吻合(ふんごう)術という超微細な形成外科手術を受けると、早期は根治が、重症例でもむくみの改善や炎症発生頻度の低下が期待できます。

 男性の前立腺がんも、放射線治療ならリンパ浮腫の心配はほとんどありません。手術以外の治療法を選択することがとても重要です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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