Dr.中川 がんサバイバーの知恵

タレント原千晶さんは手術から13年で発症…がん手術後のリンパ浮腫は放射線治療なら免れる

原千晶さん(C)日刊ゲンダイ

 男性も前立腺がんでリンパ節を切除すると、リンパ浮腫になりますが、前立腺がんでのリンパ節切除はそれほど多くなく、ほとんどが女性。リンパ浮腫を起こす主体は乳がんと子宮がんで、子宮がんのうち子宮頚がんなら、治療法の選択でリンパ浮腫を避けられる可能性があるのです。

 子宮頚がんのステージ2bは、世界的に化学放射線治療が中心です。ところが日本では長く手術が1番手に推奨され、化学放射線治療は2番手でした。日本で化学放射線治療が世界と同じ1番手になったのは昨年からです。

 がん治療の先進国・スウェーデンの場合、ステージ2bの子宮頚がんに手術が行われるのはわずか4%。9割が化学放射線治療です。ガイドラインの改定が遅れた日本では、少しずつ化学放射線が増えてきたとはいえ、最近になってやっと手術と同等に。9割のスウェーデンに比べると、もっと化学放射線治療を増やすことが必要です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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