感染症別 正しいクスリの使い方

【誤嚥性肺炎】錠剤が飲みにくい場合でも自己判断で粉砕してはいけない

持続的な効果を得るために工夫された医薬品などもある

 前回、嚥下機能が落ちている場合は、とろみをつけた食事も効果的だとお話ししましたが、薬が飲みにくい場合にも、とろみをつけた水やゼリーなどで服用することは有効です。時折、錠剤を粉砕したり、カプセル剤の中身を取り出して服用しているケースも見かけるのですが、これらは行う前に必ず薬剤師に確認をとってください。

 薬の中には持続的な効果を得るために工夫された医薬品(徐放薬)や、胃酸で分解しないために特殊なコーティングが施された医薬品などもあります。これらを知らずに粉砕してしまうと、急激に薬の効果が出てしまったり、全く薬の効果が得られない、などの問題が起こってしまうリスクがあるのです。

 最近は薬を水に溶解してから投与する方法(簡易懸濁法)なども増えていますが、いずれにしても、医薬品を加工することになります。正しい手技やその行為を行ってはいけない医薬品などについて、必ず薬剤師に確認しておきましょう。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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