医者も知らない医学の新常識

新型コロナにかかりにくい体質がある ネイチャー誌に掲載

家族全員が感染しているのに、なぜか1人だけ感染していても無症状…(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナの感染が再び拡大しています。クリニックでも毎日感染者を診断していますが、検査をすると家族全員が感染しているのに、1人だけ感染していても無症状、というケースにしばしば遭遇します。

 お聞きしてみると、以前も感染したものの、その時も症状は全く出なかった、と言われることが多いのです。新型コロナに感染しても、2割の人は無症状で終わると報告されていますから、症状が出ないこと自体は不思議ではないのですが、特定の人に症状が出ない、ということがあるのでしょうか?

 今年のネイチャー誌に興味深い研究結果が報告されています。HLA(ヒト白血球抗原)というのは遺伝子の血液型のようなもので、多くのタイプに分かれています。このタイプが一致しないと、臓器移植の時に拒絶反応が起こることでも有名です。新型コロナの症状とこのHLAのタイプとの関連を調査したところ、ある特定のHLAのタイプを持っていると、新型コロナに感染しても、無症状のまま終わる確率が高いことが分かりました。

 そのメカニズムを分析したところ、メモリーT細胞と呼ばれる免疫細胞の働きに特徴があり、新型コロナ以外のコロナウイルスに対する免疫が、新型コロナに対しても働く可能性が示唆されたのです。どうやら新型コロナにかかりにくい体質というものが、存在しているようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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