医者も知らない医学の新常識

少量の飲酒習慣は心臓病の予防効果あり 米国心臓病学会誌で報告

少量の飲酒習慣のある人は人生を楽しんでいる

 適度な飲酒は健康に良い、というような意見が、以前は専門家からもよく聞かれました。しかし最近の研究では、少量であっても飲酒の習慣には健康面のリスクがある、という見解が一般的になっています。

 しかし、狭心症などの心臓病についてみると、少量の飲酒習慣に病気の予防効果がある、というデータが存在しています。

 今年の米国心臓病学会の学会誌に発表された論文によると、5万人を超える健康調査の結果として、飲酒習慣のない場合と比較して、1日1合相当くらいまでの比較的少量の飲酒習慣のある人は、心臓病などの動脈硬化に伴う病気のリスクが2割以上低くなっていました。ここでPET検査という、脳の機能を調べることが出来る検査の結果と比較してみたところ、少量の飲酒習慣のある人は、飲酒習慣のない人と比較して、脳のストレス反応が低くなっていることが確認されました。これは一般に「ストレスに強い」といわれる状態です。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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