がんと向き合い生きていく

がん検診は科学的根拠に基づいたメリットがデメリットを上回る

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 検診でのデメリットは偽陽性や過剰診断で、不必要な検査が行われる場合があります。また、内視鏡検査では出血などのアクシデント、X線検査では被ばくの影響がごくまれにありえます。ほかに、精密検査を受けるように指摘されたことによる心理的負担、不安感も挙げられます。

 それでも、メリットがデメリットを上回ると考えられ、科学的根拠に基づく国の検診指針となっているのです。

■日本の受診率は50%前後と低い

 以前、私は胃の検診車に乗って、ある会社の職場を回ったことがあります。バリウムを飲んでいただいて、体を回し、X線写真を撮影します。

 病院に帰ってから、読影室でその写真を2人の医師でチェックしました。細長いフィルムを拡大鏡に挟んで診ます。問題がありそうな写真を選び出し、その方々の内視鏡検査を指示しました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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