がんと向き合い生きていく

がん検診は科学的根拠に基づいたメリットがデメリットを上回る

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 国の検診指針に定められたがん検診は、「科学的根拠に基づいたがん検診」とされています。その科学的根拠とは、がん検診によるメリットがデメリットを上回ると判断されたことといわれます。

 メリットは、定期的な受診でがんの早期発見、早期治療によりがんで死亡する可能性の減少です。早期なら胃がん、大腸がん、乳がんの9割以上が治ると言われます。また、受診の結果で異常なしなら、多くの人が「がんではない」と分かることによって安心できます。

 早期がんの場合、食道がん、胃がん、大腸がんなどでは、症状がまったくない場合が多いのです。

 検診にはいくつか種類があります。胃がん検診では、内視鏡か胃X線検査を50歳以上(胃X線検査では40歳以上)で行い、実施回数は2年に1回です。肺がん検診は、胸部X線検査です。40歳以上で、年1回、喫煙年数、本数によっては喀痰細胞診も行います。大腸がん検診は、免疫便潜血検査2日法で、40歳以上、年1回です。女性の乳がんでは40歳以上、2年に1回、マンモグラフィー検査です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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