高齢者の正しいクスリとの付き合い方

“アナフィラキシー”に見舞われたとき役立つ自己注射キット

アナフィラキシーショックのリスクに備える(C)iStock

 一度、アレルギー源に暴露されたときは大丈夫でも、2回目に暴露された時にアナフィラキシーショックが起こるケースもあります。これは、1回目の暴露で体の中にアレルギー源に対する抗体が作られ、2回目の暴露で抗体が激しく反応するためです。もちろん、1回目から症状が出ることもあります。症状が現れる速さはアレルギー源によって少し異なりますが、アレルギー源と接触した後すぐに起こる場合が多いです。

 万が一、アナフィラキシーショックを起こした場合、病院で適切な処置(抗ヒスタミン薬やステロイドの投与など)を行えば問題ありません。その後はアレルギー源に再度暴露されないように注意すればよいのですが、これはそんなに簡単ではありません。大丈夫だと思っていた食べ物の中にわずかにアレルギー源が含まれていたなんてこともあるからです。

 そういったときに持っておくといいのが「エピネフリン」の自己注射キットです。エピネフリンは血管を収縮させる作用があるクスリで、血圧低下(ショック)を緩和することができます。他の症状にはあまり効果はありませんが、病院を受診するまでの時間に最悪の事態に陥らないようにするためにはとても重要なクスリです。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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