がんと向き合い生きていく

前立腺がんだった知人が急に亡くなったという知らせが届いた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 前立腺がんと診断された場合、進行が速いのか、ゆっくりなのか、病理検査で悪性度診断が行われます。これを「グリソンスコア」と言い、10点満点で点数が高いほど悪性度が高くなります。がんの進み具合は、CT、MRI、骨シンチグラフィーなどの検査で診断します。進行状況とグリソンスコア、PSA値などにより、低、中、高リスクに分けられるのです。

 どのリスクに該当するのかに合わせて、患者さんの希望、年齢、合併症などを検討して治療法が決められます。前立腺全摘手術、放射線治療、ホルモン療法が治療の中心です。

 抗がん剤治療の効果は限定的で、根治治療には使われず、初回から選択されることは多くありません。ですから、低リスクでは無理して手術や放射線治療を行わず、経過を見る方法もあるのです。

 手術では根治のために前立腺全摘、周囲のリンパ節郭清を行います。低~中リスクで限局している前立腺がんでは根治の可能性が最も高いので、手術が一番の適応になります。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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