老親・家族 在宅での看取り方

夫を介護する80代女性「病院だと誰も夫に話しかけない…家に帰してあげたい…」

ただ自宅で過ごしたいという思いに応え続けたい

「奥さま、大変じゃないですか?」(私)

「大変ですね」(H子さん)

 自宅で夫を看取りたいという切なる思いから、孤軍奮闘している80代の女性、H子さん。

 ご主人は脳梗塞の後遺症で右半身に麻痺があり、さらに2020年にはコロナ感染で、誤嚥性肺炎を発症。それ以降も誤嚥性肺炎を繰り返していました。H子さんは痰の吸引やおむつ交換のトレーニングを積極的に受け、在宅医療を開始したのですが、ひとりでの介護は体力的にも精神的にも厳しい。

「痩せました?」(私)

「いやいや、痩せていませんよ(笑)」(H子さん)

「外出してキレイなもの見に行きたいですよね。それも対応できるようにしますので……。たまには息抜きも必要です」(私)

「主人も車椅子には座れるんですね。うちに帰ってきてこういうふうにできていることがうれしいです」(H子さん)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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