老親・家族 在宅での看取り方

65歳の肺がん患者「絶対に治したいと手術も抗がん剤も頑張ったが…」

写真はイメージ

 その方は65歳の男性患者さん。企業でそれなりのポストまで上り詰め、定年まで勤めあげた方でした。都内・山手線沿線に一軒家を構え、自宅には趣味の鉄道模型の部屋をつくり、人生を通してたばこを愛しておられました。

 定期健診で肺がんが見つかったのは定年から3年が経った頃。絶対に治す決意で国立がん研究センターに入院。年末に手術を受けましたが、翌年1月、術後のCTで再発が確認されました。

 すぐに抗がん剤治療が始まり、計4サイクルでがんは縮小したものの、抗がん剤の合併症である間質性肺炎と長年の喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)とで呼吸困難が生じ、外来通院が困難に。5月16日に再度、がんセンターに入院。左気胸を発症し、息苦しさを取るために親指くらいの太さのチューブを胸の中に挿入するなどの治療を受けました。しかし入院中の翌月には小さな気胸の再発が見つかり、経過観察となりました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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