老親・家族 在宅での看取り方

大腸がんの60歳男性「1人で家にいて繰り返す吐き気が精神的につらいんだよ!」

途中で入院を希望することも(写真はイメージ)

「ここでも来てくれるけど何時間おきじゃない。声が出る間に入院したいんだよね」(患者)

「○○病院が空いていればすぐ入れると思いますが、もし空いていなければ他のところあたります?」(私)

「○○病院がいいです」(患者)

「わかりました。調整いたします」(私)

 私たちも頻繁に往診し、電話で相談に乗ったりしていましたが、吐き気にさいなまれ、孤独に療養生活を送ることは、ご本人にとっては精神的に耐えられなかったようでした。

 入院を希望されることは仕方のないこと。この方のように重症化する前に、自分の意思を伝えられたことはまだ恵まれているのではないかと思います。在宅医療は患者さんの悩みや相談事に柔軟に対応します。ある意味、患者さんやそのご家族のよろず医療相談所であると考えています。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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