老親・家族 在宅での看取り方

多発性骨髄腫の80代男性「打つ手がないなら点滴はやらないで自然でいたい」

在宅では患者さんの状態に合わせて対応(C)iStock

 その患者さんは、息子さんと2人暮らしの80代男性。2017年に多発性骨髄腫が分かり治療を受けていましたが、打つ手がなくなり、鎮痛剤による疼痛(とうつう)管理だけの対処となっていました。やがて通院も困難となり、私たちのところで在宅医療を開始することになりました。

「痛くないかと聞いても、意味のない言葉が返ってくるんです。この先を考えると、賃貸住宅なので、大家さんに迷惑かけることにならないか心配です」(息子)

 自宅で亡くなった時に、警察を呼ばなければならないんじゃないかと心配される方がたくさんいます。実は在宅医療を受けていれば、亡くなる時に医師が立ち会っていなくても、在宅医療の医師が死亡診断書を書けるので、警察の介入はありません。そう伝えると、息子さんは少し安心した表情を浮かべました。

「おつらいところは?」(私)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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