一方で、高齢者はどうしても加齢に伴い体の生理機能が低下してしまい、これは肝臓の機能も例外ではありません。だからといって高齢者に対するクスリの投与量にこれといった決まった指標はないのですが、「作用が強く出たり副作用のリスクが高くなる」ということを念頭に置いて、薬剤師は高齢者の薬物療法に関しては特に注意深く経過を見るようにしています。
疾患や生理機能の低下以外にも代謝に影響する要素はいくつもあります。代表的なものが「アルコール」と「他のクスリとの相互作用」です。クスリと同様にアルコールも肝臓で代謝されるため、アルコールとクスリを同時に摂取すると肝臓の機能はアルコールの代謝も行わなければならなくなり、クスリの代謝が十分にできなくなる可能性があるのです。高齢者の場合はここに生理機能の低下が加わるので、クスリを安全に使用するためにもアルコールの摂取は極力避けたほうがよいでしょう。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方