クスリの「吸収」と「分布」の次は、「代謝」についてお話しします。
代謝というと少しイメージしにくいかもしれませんが、「体の中で別の形に変わること」です。中にはまったく、あるいはほとんど代謝を受けないクスリもありますが、多くのクスリは代謝されます。代謝によって別の形になることで作用を失うクスリもありますし、逆に作用を発揮するようにデザインされているクスリもあります。
代謝の主な場所は肝臓です。肝臓ではさまざまな種類の代謝酵素が産生されているため、多くのクスリが肝臓で代謝されます。また、筋肉にも代謝酵素があるので、筋肉で代謝されるクスリもあります。
肝硬変のような疾患で肝臓の機能が低下している場合には、クスリの代謝機能も低下してしまい、その作用が強くなるだけでなく、副作用が発現する可能性が高くなるケースもあります。ただ、肝臓の疾患があったとしても代謝機能は保たれている場合もある(個人差も大きいです)ので、一概にそうだとはいえません。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方