狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などで病院から処方されるアスピリンの1錠あたりの含有量は81~100ミリグラムとなっています。それを1日1錠服用している方がほとんどで、多くても3錠(300ミリグラム)までとなっているはずです。アスピリンの解熱鎮痛作用を発揮させようとすると1回500~1500ミリグラムの服用が必要になるので、血をサラサラにさせようとしたときに服用する量がいかに少ないかがお分かりになると思います。
こうした2つの作用があることで、注意すべき点が出てきました。それを「アスピリンジレンマ」といいます。血をサラサラにする量のアスピリン服用中の人が、解熱鎮痛薬として追加で多い量のアスピリンを服用したときに起こります。多い量のアスピリンを服用すると、たしかに解熱鎮痛作用を発揮しますが、同時に血小板の凝集を抑制する物質(プロスタグランジンI2)の合成も抑制してしまいます。つまり、血小板凝集に必要な物質と血小板の凝集を抑制する物質両方の合成が抑制されることで、血をサラサラにする効果が打ち消されてしまう可能性があるのです。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方