高齢者の正しいクスリとの付き合い方

2つの作用がある「アスピリン」は服用する時に注意が必要

「アスピリン」には2つの作用がある

 高齢者の中には、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などに対して「アスピリン」を服用している方もいらっしゃるでしょう。でもみなさん、アスピリンと聞くと解熱鎮痛薬というイメージがありませんか? 今回はアスピリンの2つの作用について説明します。

 アスピリンはもともと解熱鎮痛薬として誕生しました。初めて合成されたのが1897年ですから、もう130年くらい前の話になります。そして、現在も解熱鎮痛を目的に病院で処方されますし、市販薬としても流通しています。では、なぜ狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などにアスピリンが用いられるのでしょう? アスピリンには血小板凝集を抑制して血をサラサラにする作用もあるからです。

 アスピリンにこの作用があることがわかったのは1964年で、成人が小児用量のアスピリンを服用することでその効果が発揮されることが明らかになりました。少量のアスピリンは血小板の凝集に必要な物質(トロンボキサンA2)の合成を抑制することで血をサラサラにします。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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