東洋医学を正しく知って不調改善

喉が痛い…東洋医学における対処法はどんなものがあるのか

のどが痛い…

 寒くなってきたり、空気が乾燥したりすると、喉の痛みを感じることがよくあります。このような時期に起こる喉の痛みは、「外邪」によるものがほとんど。

 外邪とは病気の原因となる外的因子のことで、風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪などがあります。季節外れの気候や、過度の気候特徴(寒すぎる、暑すぎる)などは外邪となって、人体に悪影響を及ぼします。また、抵抗力や免疫力の低下は、外邪による体調不良を起こしやすくします。外邪に負けない体づくりや生活習慣が重要となります。

 喉の痛みに対してよく処方される漢方薬を紹介しましょう。

【甘草湯(かんぞうとう)】

 喉の違和感や痛みがあるが、炎症があまりない場合に使われます。声のかすれにも効果があります。

【桔梗湯(ききょうとう)】

 甘草湯に桔梗を加えたもの。喉の痛みや炎症があり、「口は渇くが水をたくさん飲みたいわけではない」といった症状を伴う場合に処方します。発熱はなく、粘り気のない痰がある時にもいい。うがい薬として用いることもあります。

【小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)】

 喉の痛みがあり、口が渇き、喉の熱感がある。炎症所見が強く、唾液を飲み込むと喉が痛むような場合によく効きます。

【麦門冬湯(ばくもんどうとう)】

 喉の違和感があり、喉の乾燥感もある。痰が切れにくく、時に強く咳き込む場合に。

天野陽介(提供写真)
ツボを押したりお灸を行うのもお勧め

 効果のあるツボも紹介しましょう。いくつかありますが、代表的なものとして、次の4つを覚えておくと役に立つと思います。肘を曲げるときにできるシワの上、親指側にある尺沢。手の親指の爪の根元で、小指と反対側の爪の角から1~2ミリ離れたところにある少商。手の小指の爪の根元で、親指と反対側の爪の角から1~2ミリ離れた少沢。内くるぶしの下(親指の横幅分くらい下)のへこみにある照海。痛気持ちいい程度の強さで押すだけでもいいですし、薬局で売っている台座灸を行うのもお勧めです。

天野陽介

天野陽介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員も務める。日本伝統鍼灸学会、東亜医学協会、全日本鍼灸学会、日本医史学会、日本東洋医学会所属。

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