──手術前に後嚢破損の可能性を予測できなかったのですか?
「わかっていたら無理はしません。破れるのは瞬間なので、兆候を予測することはできません」
──これまでに手術中に後嚢破損した症例はありますか?
「後嚢破損だけなら手術を続行して人工レンズを嚢外に装着できます。今回は破損だけでなく核片が飛び散ったので、手術の続行は無理だと判断しました」
こうした説明に納得したわけではありませんが、最後に院長は「手術がうまくいかなくて申し訳なかった」と謝罪してくれました。
手術前に署名した「手術承諾書」には、「術中の合併症として後嚢破損したとき」のことが書いてありました。私の場合、「医療ミスではないか」と主張しても、この承諾書を盾にとられると反論しづらいのです。