白髪を科学する(3)抗白髪製品…カラートリートメントとの違いは?

理論上では治せるとはいえ…

「投薬や治療の副次的な作用で偶発的に白髪が元の色に戻ったという事例は、医師らの症例報告だけで30件以上あります。白髪の改善は理論上不可能ではありません」

 こう言うのは資生堂リサーチセンター(研究所)で主に薄毛、白髪の研究に携わってきた日本毛髪科学協会役員の出田立郎氏だ。

 そもそも髪の毛の色の本体はメラニン色素で、アミノ酸の一種であるチロシンを原料にして色素細胞(メラノサイト)内で合成されメラニン顆粒となり、それが髪の毛の中に供給されている。

 ただし、ヒトの毛髪は「成長期」「退行期」「休止期」のヘアサイクルがあり、抜け替わる。色素細胞もそれに同調し、退行期にはメラニン合成はストップし、メラノサイトの数は激減。次の成長期に入ると、毛包の近くのバルジと呼ばれる場所に分布している色素幹細胞からメラノサイトの前駆細胞であるTA(Transient Amplifying)細胞が産出され、それが新たに毛根の先の毛乳頭周辺に遊走、定着してメラノサイトとなり、髪の毛にメラニン顆粒を供給する。

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