Dr.中川 がんサバイバーの知恵

がん専門医の私が受け止めた坂本龍一さん晩年のメッセージ

坂本龍一さん(C)日刊ゲンダイ

 脆弱な命や体と向き合うには、やっぱり健康なときの意識が大切でしょう。発がんリスクを下げる要因は、たくさんあります。有酸素運動や筋トレ、メタボにならない程度の体重管理、禁煙、節酒、歯磨き、適切な歯科治療、がん検診など。

 すべてをバッチリやるとなると、聖人君子のような生活になるでしょうが、せめてひとつ、がん検診をきちんと毎年受診することは皆さんもできるのではないでしょうか。 残念ながら、日本のヘルスリテラシーは世界最低ランク。そんな中、小中高ではがん教育がスタート。これを受けた家庭の親のがん検診受診率はそうでない親より高い傾向です。今後、ヘルスリテラシー向上が期待できるでしょう。がん専門医として、坂本さんのメッセージを解釈すれば、がん検診の受診を習慣化してほしいと思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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