Dr.中川 がんサバイバーの知恵

漢a.k.a.GAMIさんは全摘…膀胱がんは化学放射線療法で膀胱温存も

男性の膀胱がん罹患数は女性のおよそ3倍(写真はイメージ)/(C)iStock

 残りは扁平上皮がんと腺がんで、漢a.k.a.GAMIさんは扁平上皮がんだそうです。このタイプは慢性的な感染症や粘膜への刺激、尿路結石によって発生すると考えられています。エジプトではビルハルツ住血吸虫による膀胱がんが多く、膀胱の扁平上皮がんの発生率が高い。粘膜への刺激は尿道カテーテルの留置などが一般的です。

 扁平上皮がんは、移行上皮がんに比べて悪性度が高く、2年ほどで亡くなることが珍しくありません。手術をする場合、膀胱全摘です。

 しかし、ほかの臓器に発生した扁平上皮がんと同様に放射線治療が効果的であることも分かっています。特に最近はシスプラチンを主体とする抗がん剤と放射線を組み合わせる化学放射線療法を用いると、2年を超えて生存するケースも増えています。化学放射線療法はもっと検討されてよいでしょう。手術後の再発予防で、化学放射線療法が行われることもあります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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