Dr.中川 がんサバイバーの知恵

漢a.k.a.GAMIさんは全摘…膀胱がんは化学放射線療法で膀胱温存も

男性の膀胱がん罹患数は女性のおよそ3倍(写真はイメージ)/(C)iStock

 化学放射線療法のメリットは、膀胱を温存できることです。前述したように膀胱を全摘すると、尿をためるところと出口がなくなるため、一般に腹部の右側に尿の出口を設けた上、尿をためるパウチをつけることが不可欠です。パウチはビニール袋のようなもので、これを嫌がる方は少なくありません。そこで、手術を拒否する方や高齢者などで膀胱の温存を希望される方には、化学放射線療法が提案されるわけです。

 膀胱がんは再発しやすいのも特徴。長期にわたって検査を受け続けることになるため、米国では「医療費が最もかかるがん」といわれますが、経過観察をおろそかにせず、きちんと受けることも大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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