化学放射線療法のメリットは、膀胱を温存できることです。前述したように膀胱を全摘すると、尿をためるところと出口がなくなるため、一般に腹部の右側に尿の出口を設けた上、尿をためるパウチをつけることが不可欠です。パウチはビニール袋のようなもので、これを嫌がる方は少なくありません。そこで、手術を拒否する方や高齢者などで膀胱の温存を希望される方には、化学放射線療法が提案されるわけです。
膀胱がんは再発しやすいのも特徴。長期にわたって検査を受け続けることになるため、米国では「医療費が最もかかるがん」といわれますが、経過観察をおろそかにせず、きちんと受けることも大切です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵