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被災地では薬剤師仲間のつながりが大きな助けになった

能登半島地震の被災地支援ではつながりに救われた(C)日刊ゲンダイ

 災害時、被災地に支援で入る医療従事者ですが、強い使命感を持って自ら進んで名乗り出る人もいれば、そうでない人もいます。私はどちらかといえば後者に当たるかもしれません。現地がどのような状況なのか情報も乏しく、わからないところに行くのはやはり不安でしたし、怖い気持ちも強かったというのが正直なところです。

 そんな私を救ってくれたのは、多くの薬剤師仲間とのつながりでした。

 東日本大震災の時に派遣された避難所には薬剤師が少なく、大ピンチに陥っていることをSNSにアップしたところ、翌日には多くの薬剤師がヘルプに入ってくださいました。本来なら指揮命令系統にのっとって情報を上げていくのですが、当時はそんな状況ではありませんでした。

 今回の能登半島地震では、被災地に入る数日前にたまたま静岡の薬剤師さんに質問があってメールをしたところ、偶然にもその先生は災害支援活動の真っただ中でした。現地の状況やニーズなどについて、活動前に聞くことができたのはとても大きな助けになりました。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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