正解のリハビリ、最善の介護

「慢性期」の3つの段階に応じたリハビリはどんなものなのか

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 現在の日本の医療体制では、認知症や脳卒中後遺症などの障害を抱えている慢性期に回復するための“攻めのリハビリ”を受けたい場合、「介護老人保健施設(老健)」が唯一の選択肢であるとお話ししました。ただ、一般的な老健は、単に3カ月間の生活支援を受ける施設となっているのが現状です。しっかり回復させるための積極的なリハビリを行える施設が少ないからです。最善の介護には正解のリハビリによる評価と回復がとても大切になります。

 一口に「慢性期」といわれますが、大きく3つの段階に分けられます。1つは「生活期」と呼ばれる段階で、積極的なリハビリを行えばしっかり回復して、再び自宅生活へ戻れるような患者さんが該当します。病気やケガの治療後に在宅復帰や社会復帰を目指したリハビリを行う回復期と同程度の段階といえます。たとえば、発症時の年齢が70歳以下で重症だったものの年単位で回復してきた患者さんや、超高齢でADL(日常生活動作)が低下してきた患者さんがこれに当たります。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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