レジリエンス高め若々しく生きる

「胃」が健康なら病気になりにくい

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これまで、レジリエンス(回復力、抗病力)を身につける方法をいろいろと紹介してきましたが、それらを実践するためには、まず「胃」を整えることです。胃は単に食べ物を分解する臓器だと思っている方もいるでしょうが、実は全身の健康につながる重要な臓器なのです。

 たとえば、慢性胃炎がある人はアルツハイマー型認知症を発症するリスクが2倍になるというデータがあります。また、慢性胃炎がある人はパーキンソン病の薬が効きにくいこともわかっています。胃の不調は、脳神経系にも大きな影響を与えているのです。

 そればかりではなく、骨折しやすくなります。慢性胃炎があると、骨の質を保つために必要なカルシウムや葉酸の吸収が落ちるため、骨粗しょう症になりやすいのです。

 さらに、慢性胃炎の人は動脈硬化を起こしやすく、血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクがアップすることもわかってきました。人間は体の中に「ホモシステイン」という老化物質(アミノ酸の代謝産物)を持っています。人間の体を錆びつかせ、老化を促進させる悪玉の物質です。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。