どうなる! 日本の医療

重粒子線治療にコストを上回るメリットがあるのか?

 実際、建設費・維持コストの安い新施設はすでに群馬大などに導入され、19年に治療開始を目指す山形大学医学部付属病院でも建設中だ。

「山形大学付属病院の新型重粒子線がん治療装置は、従来装置よりコンパクトで敷地もコストも従来の3分の1といわれます」(放射線機器関係者)

 それでも、山形の治療施設導入には約150億円かかるという。そのため同病院は国や県、市の資金援助、自らも資金調達しているが、それでも110億円前後しか集まらず、残りは個人や企業献金を募っている。

 そんな中、患者数が最も多く、施設運営の要ともなる前立腺がんに対する治療効果が、従来のエックス線治療などと大差ないとなれば、大問題だ。コストを上回るメリットがなければ、280万円を自己負担して治療する患者数が頭打ちになることは避けられない。

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