そもそも医療事故調査・支援センターの前身は19の医学会と日本医師会、薬剤師会、看護協会などが協力運営する「日本医療安全調査機構」で、厚労省が指定したもの。厚労省はここ5年間に年間1億2000万円規模の補助金をつぎ込んでおり、センターに衣替えした後も、厚労省がコントロール下に置くのは必至だという。それだけに、遺族の意に沿った調査が行われるのか、懸念があるのだ。
「問題はそれだけではありません。センターは厚生労働省との関連が薄い病院の医療事故には厳しく、厚労省の身内がいる病院には、検査に手心を加えることにもなりかねません」(上教授)
まさか、と思う人もいるだろうが、実例がある。がん患者11人が腹腔鏡手術で死亡した千葉県がんセンター事件だ。少なくとも7人の患者が同じ医師による死亡例だったこともあり、2010年に同がんセンターの別の医師が厚労省に内部告発。その告発はしかし、放置され、その後も死亡事故が続いた。この時の病院長は厚労省の天下り元技官だったという。
「当時、身内に甘い厚労省の姿勢が厳しく批判されたものです」(全国紙記者)
医療事故調査・支援センターがこうした懸念を払拭できるのか。国民が厳しく見守る必要がある。
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