医療用語基礎知識

【視力検査】「1・0」はどのぐらい目がいいのか?

 では、視力2・0ならどうでしょうか。答えは視力1・0の半分の大きさ、つまり5メートルの距離から0・75ミリのものまで見分けることができます。逆に視力0・5の人は、2倍の3ミリまでしか見分けられません。さらに、視力0・1なら15ミリ(1・5センチ)まで。「見えるものの大きさと視力は反比例する」と定義されているため、少し数学が得意な人なら、簡単に計算できるはずです。

 たとえば視力0・01の場合、視力1・0の100倍の大きさ、つまり5メートルの距離から、15センチの大きさのものが見分けられることになります。

 ちなみに1円玉の直径は20ミリ、500円玉は26・5ミリです。地面に落ちた硬貨を探すには、やはり目がいいほうが有利といえるでしょう。

 ところで、普通の視力表は、視力2・0までしか対応していません。そのため世間では、視力の上限は2・0と信じられています。しかし視力の定義にしたがえば、もっと高い人がいても不思議ではありません。実際、アフリカのマサイ族は、高い視力で名をはせています。視力5は当たり前、なかには7や10の人もいるとか。

 とはいえ目の構造上の限界がありますから、解剖学者などは、生物学的にはせいぜい3か4までが上限ではないか、と言っています。実用上は、視力2・0まで測れれば十分ということなのです。
(医療ジャーナリスト・やなぎひさし)

2 / 2 ページ

やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。