医療用語基礎知識

【中性脂肪とコレステロール】8割が体の中で作られるコレステロール

 脂肪とコレステロールを一括して、「脂質」と呼びます。「脂質(代謝)異常症」とは、これらの数値が基準値よりも高い状態が続いていることを言います。

 ではHDLとかLDLとは、いったい何でしょうか。

 実はこれらは、血液中に溶けているタンパク質の一種と、脂肪とコレステロールでできた複合体です。主にコレステロールの体内循環に関わっています。複合体に含まれているコレステロールの量が少ないものがHDL、多いものがLDLと呼ばれています。

 HDLは、肝臓などでコレステロールを補給するとLDLに変わり、末端の細胞にコレステロールを運搬します。LDLは、コレステロールの大半をおろしてしまうと、HDLに変わり、再びコレステロールの運搬に使われるのです。

 ところが、脂質異常症の人の体内では、コレステロールがダブついてしまい、LDLがなかなかHDLに戻りません。つまり、LDLの血中濃度が上がり、HDLの濃度が相対的に下がるのです。なお、健診等で測定しているのは、HDLやLDLに含まれているコレステロールの量。「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」とは、そういう意味です。

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やなぎひさし

やなぎひさし

国立大学理工学部卒。医療機器メーカーの勤務を経てフリーへ。医療コンサルタントとして、主に医療IT企業のマーケティング支援を行っている。中国の医療事情に詳しい。