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【漏斗胸の手術】 湘南鎌倉総合病院・胸壁外科(神奈川県鎌倉市)

湘南鎌倉総合病院胸壁外科の飯田浩司部長(提供写真)

 一方、胸肋挙上術は1981年に故和田壽郎・札幌医科大学名誉教授が開発し、94年以降は飯田部長が改良を重ねてきた術式だ。手術時間は小児で2時間、成人は3~4時間。翌日から食事や歩行が可能で、大きな合併症はこれまでになく、入院は平均6日。退院時にはほとんど痛み止めの必要はなく、約1カ月で登校・勤務ができ、3カ月以降は運動制限もない。

 欠点は、左右数本の肋軟骨をミリ単位で切る調整に技術を要し、相当の経験がないと難しい。それが普及していない理由だ。

「幼児から大人まで手術できますが、最も適しているのは精神的な影響が表れる前の5~7歳ごろ。悩みを抱えていた患者さんや親御さんが涙を流して喜んでくれます」

 飯田部長は、名古屋徳洲会総合病院・胸壁外科(愛知県春日井市)でも治療を行っている。

■データ
国内外73施設ある徳洲会グループの基幹病院
◆スタッフ数=手術担当医師2人(心臓血管外科専門医と呼吸器外科専門医)
◆年間初診患者数=60~70人
◆対象疾患の割合=漏斗胸約95%、鳩胸約5%
◆年間手術件数=30件強

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