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【便失禁】指扇病院・排便機能センター(埼玉県さいたま市)

指扇病院の味村俊樹センター長(C)日刊ゲンダイ

“BF”とは、通常では認識が難しい生理機能を画像や音などの情報に変換し、それを基に本人の意思で制御できるようにする技法。治療やリハビリの他、スポーツのトレーニングなどでも用いられている。

 切迫性便失禁で行うのは、骨盤底筋収縮訓練だ。

「切迫性便失禁は、便を我慢することで腹筋まで力が入ってしまい、便を押し出して漏らしてしまう。それを肛門周囲の筋肉だけを収縮(締める)させるように訓練するのです」

 具体的には、肛門と腹部に電極を設置して両方の筋肉の収縮レベル(筋電図)をモニター画面に映し出す。それを見ながら、腹に力を入れないで肛門だけを締めるコツを習得していく。BF療法は外来で月1回30~45分、計5回。その間、理学療法士が指導してくれた肛門を締める収縮訓練を自宅で毎日行う。

「BF療法は便失禁だけでなく、軟便でもうまく出せず残便感で困る“排便困難型便秘”の治療にも有効です。このタイプの便秘は、排便でいきむときに肛門周囲の筋肉まで収縮させてしまうのが原因です。BF療法は便失禁とは逆の骨盤底筋弛緩訓練を行います」

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