役に立つオモシロ医学論文

「バイリンガル」は脳梗塞後のダメージが少ないって本当?

「バイリンガル」とは2つの言語を自由に操ることのできるスキルです。2つの言語を理解する脳の認知機能は、1つの言語のみを理解する機能よりも優れているようにも思えます。

 認知機能が低下する原因としてアルツハイマー型認知症は有名ですが、脳の血管が何らかの原因で詰まって脳梗塞を起こしてしまうと、脳細胞の一部が破壊されて認知機能が低下することがあります。これを脳血管性認知症と呼びます。

 バイリンガルの人は、「脳梗塞を起こしても認知機能のダメージが少ない可能性がある」との研究があります。脳血管疾患領域では世界的に有名な米国の医学誌「ストローク誌」(2015年11月電子版)に掲載された研究論文がそれです。

 この研究では、脳梗塞を起こした608人(平均56.8歳、男性77%)が対象となりました。研究対象者から、「バイリンガルの人」(353人)と、1つの言語のみを理解する「モノリンガルの人」(255人)を比較し、脳梗塞後の認知機能レベルを調査しました。

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青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。