役に立つオモシロ医学論文

歩くのが遅い人は早死? 歩行と死亡リスクとの因果関係

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一方男性では、歩行速度が「普通」のグループに比べて「速い」グループではあまり差がないのに対し、「遅い」グループでは72%、統計的にも有意にリスクが増加しました。

 この研究では歩行速度が遅いと死亡のリスクが高い傾向にあることが示されていますが、歩行速度が「速い」と答えた人は自分の身体能力に自信がある人たち。つまり、比較的健常者が多く含まれていた可能性はあります。

“歩くのが遅いと死にやすい”というような因果関係を示したものではありませんが、歩行速度は高齢者の虚弱傾向を示す指標となるかもしれません。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。