Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【西川きよしさんのケース】まずはPSA検査で治療のタイミング探る

西川きよし(C)日刊ゲンダイ

 前立腺がんであることを公表した西川きよしさん(69)は「薬での治療も考えましたが、病院の先生と相談し、今後のことを考えたら、早く除去する方がいいとのことだったので手術する決断をしました」と語っています。早期ということから、がんは転移せず、前立腺内にとどまっていて、根治を期待して手術を選択されたのでしょう。

■悪化するまで最大10年

 薬での治療は、ホルモン療法とみられます。1~3カ月に1回、男性ホルモンを抑える薬剤を皮下注射するもの。

 前立腺がんは男性ホルモンの刺激で増殖するため、ホルモン療法はある程度効果的なのですが、ネックは2~5年で効果が薄れること。男性ホルモンを抑えることで、EDのほか、発汗やのぼせといった男性更年期症状も起こりやすい。

 そんな事情から、ホルモン療法は、手術が難しい進行がんに行われるのが一般的。早期で根治を期待するなら、手術か放射線治療が必要となります。しかし、そのタイミングは、発見してすぐではなく、ケース・バイ・ケースで考えた方がいいかもしれません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。