健康は住まいがつくる

高層階に住む程生存率が低下する可能性

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 3階より下に住む低層階での心停止5998件(76.5%)と、3階以上の高層階で起きた1844件で比較したところ、生存退院率は低層階住居者の方が有意に良好だったという。

 さらに、16階以上の高層階になると生存退院率は0.9%まで低下し、25階以上になると生存者はゼロという結果が示されている。

■心臓や脳卒中などの持病がある人は要注意

 この研究で指摘されているのは、救急出動要請があって救急隊がマンションに到着しても、実際に高層階の心停止患者にたどり着くまでの時間がこれまであまり問題にされていなかった点だ。従来の研究は、心肺蘇生までの時間を救急隊の現場到着時刻を用いて評価することが多かったという。

 心停止から心肺蘇生(電気ショックなど)が1分遅れるごとに、救命率は10%ずつ低下するといわれる。国内の119番通報から現場到着までの所要時間は、全国平均で8.5分(2013年調べ)。そこから救急隊がマンション高層階まで向かう時間を考えると、たとえ心停止直後に通報しても、救命率は予想以上に低くなることも考えなければならない。

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