余命3カ月の元米大統領救った悪性脳腫瘍の最新治療法とは

■気になる薬代は年間数百万円

 カーター氏が使ったのは「キートルーダ」と呼ばれる免疫チェックポイント阻害剤。日本では未承認だが、米国ではメラノーマ以外にも腎がん、肺がんを対象に承認されている。

 実はこのチェックポイント阻害剤は、「原発性脳腫瘍」にも効果がある可能性があるという。

「膠芽腫は最も悪性度が高く、頭蓋骨内腫瘍の10%と頻度の高い原発性脳腫瘍です。大脳に発生して周囲の脳細胞に染み込むように広がり、5年生存率は10%で平均寿命は1年半といわれています。標準治療は開頭手術で可能な限り腫瘍を取り出し、放射線治療とテモゾロマイドと呼ばれる抗がん剤治療ですが、欧米ではチェックポイント阻害剤により、腫瘍の縮小が見られると報告されています」(今村院長)

 実際、「千葉ポートメディカルクリニック」では、60代の膠芽腫の男性患者にチェックポイント阻害剤を投与したところ、腫瘍が縮小し延命に成功したという。

 ちなみに、免疫チェックポイント阻害剤は従来のがん細胞への攻撃力を強めるのでなく、がん攻撃のブレーキを外す薬。そのため効力に比べて副作用が低い。問題は薬剤費が年間、数百万円以上かかる点だが、脳腫瘍の治療に新たな治療法が登場したことは心強い。

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