震災後の健康被害 これからが危ない

<第4回>初期症状は空腹時や食後の痛み 「震災胃潰瘍」に要注意

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■被災10日~14日目がピーク

 実は大地震発生10日目から2週間後にかけて、こうした患者が数多く出ることは、東北大学病院卒後研修センターの菅野武医師らの研究でも明らかになっている。それによれば東日本大震災発生から3カ月で東北地方の基幹7病院では「消化性潰瘍」患者が383例報告されたという。これはその前年に比べて1.5倍多かった。そのうち出血性潰瘍は前年の2.2倍の257例にも上った。

「特にかかりやすく重篤になりやすいのはピロリ菌保菌者です。ピロリ菌があると分かっている人は特に気をつける必要があります。高齢者の場合には地震の恐怖、避難所の大きな環境変化などに対応できずストレスを抱えやすいのでAGLMにかかりやすい。高齢な被災者のケアはとくに大切です」(鳥居医師)

 対策はどうするか。

「できるだけ速やかに医師の診断を仰ぎ、胃酸の分泌を抑制するH2ブロッカーやPPI(プロトンポンプ阻害薬)などで対処すれば重篤になる以前に改善されます」(鳥居医師)

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