異色の医師

ボート競技は歯科大入学後 1964年東京五輪の代表に

黒﨑紀正さんは現在73歳(C)日刊ゲンダイ

「ボートはクルーはもちろん、合宿しているすべての仲間の呼吸が合わないとまっすぐ前に速く進みません。そのチームワークの重要性は、大学病院という組織でも相通じるものがあると思っています」

 大学を定年退職後は、娘夫婦が後を継いでいる実家の歯科医院を手伝う生活を送っている。歯のケアには気をつけていて、毎日、丹念なブラッシングを心がけている。その結果、欠損している歯は2本だけだ。最近の歯科治療は、歯を失うとすぐインプラントを勧める風潮があるが、黒﨑さんはこうアドバイスをする。

「インプラントをするかどうかは、十分に説明してもらって納得したうえで決めることが大切です。インプラントを入れても、手入れが悪いと周囲の骨が減って、ダメになってしまいます。そうなると入れ歯にしようとしてもなかなか難しくなってしまいます。最初から入れ歯にしておいた方がいい場合もあるのです。何年か先のことも考えて、治療法を提示してくれる相性の合った“かかりつけ歯科医”を見つけるべきでしょう。もちろん高齢になっても自分で歯の掃除ができないような人はインプラントを入れても意味がありません」

▽くろさき・のりまさ 1967年東京医科歯科大学歯学部卒業、71年同大大学院歯科保存学修了。88年同大学歯学部付属病院・総合診断部教授。病院長、中央社会保険医療協議会委員などを歴任し、08年3月定年退職。

3 / 3 ページ