かつて、当院でリハビリ治療に取り組んだAさん(男性・当時39歳)のお話です。彼は身長175センチ、体重98キロの肥満体形で、高血圧もずっと放置していました。仕事はシステムエンジニア(SE)で、職場までは電車通勤。独身で両親と同居しており、趣味はゲームとのことでした。
ある日突然、右半身がまったく動かなくなって言葉も出なくなり、意識がもうろうとして救急搬送されました。診断は「脳出血」でした。搬送先の救急病院でもしばらく脳出血が続き、出血量は約78ミリリットルに及んで重症となってしまいました。
入院2日目に出血が止まり、血腫を吸引する手術を受けて、意識は徐々に回復してきました。言葉は発声できないものの、少しだけ周囲の状況を把握できるようになり、口からの食事もできるようになりました。さらに、排尿と排便の感覚もわかるようになってきました。身体の動作は全介助の状態でしたが、介護者がAさんの体を動かす際、麻痺がない左半身で協力動作ができるまでになりました。
正解のリハビリ、最善の介護