はしか、結核、梅毒…忘れ去られた病気はなぜ広がった?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そのひとつが結核だ。欧州で「白いペスト」と恐れられた結核は、抗結核薬の登場で、日本では過去の病気となりつつある。実際、「平成27年結核登録者情報調査年報集計結果」(概況)によると、日本の新登録結核患者数は1万8000人と減少傾向にある。

 複十字病院呼吸器科の元部長で「水谷内科呼吸器科クリニック」(東京・練馬区)の水谷清二院長は言う。

「その多くは高齢になって発症する“内因性再燃”の患者さんです。過去に結核菌に感染し、自身の免疫力によって菌を肺の中に抑えていたが、高齢化や病気などで菌が暴れ出しているのです」

 ところが、世界に目を転じると結核は最も死亡者が多い病気だ。2014年には960万人が罹患、150万人が死亡している。とくに中国や韓国では猛烈な勢いで増えているという。

「韓国では今年結核が流行しており、病院や幼稚園での感染が報じられています。怖いのはどんな薬も効かない多剤耐性結核菌で、2014年には世界で48万人が罹患し、19万人が死亡している。その大半は中国、インド、ロシアの患者さんです。日本への本格的上陸も時間の問題ともいわれています」(前出の大利院長)

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