Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

子宮頸がんのワクチン問題 男も女も接種すれば撲滅できる

「子宮頚がんは近い将来、撲滅されるだろう」

 がん治療に携わる医師が世界から集まる「米国臨床腫瘍学会2016」で6月3日に語られた言葉です。子宮頚がんを引き起こすのはHPVと呼ばれるウイルスで、セックスで感染しますが、ワクチン接種で感染を予防すれば、がん発症を食い止めることができる。そんな意味です。

 ところが、日本は世界の流れと逆行しています。3年前、ワクチン接種後に痛みや失神、歩行障害などを起こす事例が認められ、その余波で接種する人がほとんどいなくなり、今年の7月27日、国と製薬会社が提訴される事態になりました。

 裁判の行方は見守るしかありませんが、妻や娘が子宮頚がんになるリスクにさらされているとしたら、家族を守る夫や父の気持ちはいかがでしょうか。HPVはセックスで媒介されるだけに、感染源は夫やパートナーかもしれません。今回は、HPVワクチン問題を簡単に解説しましょう。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。