“ぼんやり不調”こそ漢方薬を 西洋医学と何がどう違うのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 漢方医学の概念の一つに、肝・心・脾・肺・腎の「五臓」がある。「肝=肝臓」ではなく、「肝」には肝臓のほか、大脳辺縁系、骨格筋、骨髄も含まれる。同時に精神的機能とも関連していて、肝は感情と相互関係にある。肝以外の五臓に対しても同様だ。

 例えば、風邪をひいたとする。西洋医学では「風邪薬」となるが、漢方医学ではさらに突き詰め、「風邪をひきやすく寒がり」「運動不足」「痩せ形」「くよくよする」「皮膚は光沢がなく、荒れている」「体毛が多いが薄い」といった場合は、いずれも「肺」につながる症状から、肺の状態を改善する漢方薬が用いられる。よく使われるのは「麻黄」だ。

 ただし、同じ風邪でも麻黄が有効な風邪と無効な風邪がある。日頃から丈夫な人の風邪のひき始めで、熱は高く、悪寒が強く、皮膚は鳥肌が立ち、汗はない。こういう場合は麻黄がよく効く。しかし、日頃から虚弱で食欲がなく、熱はあまり出ないが倦怠感が強く、汗が漏れるように出て、すでに長引いた風邪では麻黄は無効だ。

 つまり、漢方医学を上手に利用するには、本人が「こんなこと、今の心身の不調には必要ない話かも」と思うようなことでも、洗いざらい医師に伝えたほうがいい。質問に効率よく答えるために、あらかじめメモしておくのも手だ。

 その不調、悩み続けず、漢方医に相談を。

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