医師語る 「こんな病気で死にたい」

苦しまないという意味では致死性不整脈が“理想的”かも

「どう生きたか」が大切だと考えると、延命治療についても思うところがあります。一般的に、切除不能なステージⅣのがん患者さんには、抗がん剤治療が行われます。仮に私がそうだった場合でも、まずは、近年続々と登場している副作用が少なく治療効果が高い抗がん剤による治療を行うでしょう。

 しかし、本を書いたり、音楽を鑑賞したり、自分の好きなことができないレベルの副作用が表れてQOLが保てない場合は、投薬の中止を希望します。また、抗がん剤の効果判定を確認して効果が見られない場合も、やはり中断を選択するでしょう。

 胃ろうや人工呼吸器などの延命治療についても同じ考えです。意識がなくなり、話せない、食べられなくなるなど、人間の尊厳が損なわれるような状態になってしまったら、“無駄”な延命治療はしないつもりです。

▽えだ・あかし 1971年、栃木県生まれ。自治医科大学で内科全科を研修後、自治医科大学消化器内科に入局。宇都宮社会保険病院内科医長などを経て、05年に江田クリニックを開業。ピロリ菌感染によって起こり、胃がんの発生に重要な「胃の腸化」にはCDX2遺伝子が重要な働きをしていることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。「医者が患者に教えない病気の真実」(幻冬舎)、「一流の男だけが持っている『強い胃腸』の作り方」(大和書房)など著書多数。

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