日常的な食事が薬に匹敵 心臓を救う「地中海食」の効果

 心臓病の予防に、薬と同じくらい効果的な食事がある。そんな画期的な報告が欧州心臓病学会で発表され、大きな話題になっている。

 今年8月末に開催された欧州心臓病学会でイタリアのグループが行った研究結果が報告された。心臓血管病がある1197人を含む2万5000人を7.3年にわたって追跡したところ、ナッツ、オリーブオイル、魚、果物、野菜、豆類などの摂取量が多い「地中海食」を食べている人は(9点満点の地中海式食事スコアで2点増加)、そうでない人に比べて心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の再発リスクが21%低下し、地中海食を最も多く食べているグループは、最も少ないグループに比べて37%も低下したという。

 東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授は言う。

「地中海食が心血管疾患の発症リスクを低下させることは、これまでも数多く報告されています。今回は、すでに心臓病を発症している患者さんの再発を防ぐ2次予防においても、有効であることがわかりました。一度、心臓病を起こした人は再発リスクが高く、予防するには厳格な管理が必要です。『スタチン』を服用してコレステロール値をコントロールしたり、『アスピリン』などの抗血小板剤で血栓ができるのを防いだり、降圧剤で血圧をコントロールしなければなりません。しかし、地中海食はそうした薬による2次予防効果に匹敵する効果があることがわかったのです」

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