医者も知らない医学の新常識

痛み止めは心臓に悪い

痛み止めは必要最小限に(C)日刊ゲンダイ

 痛みは人間にとってつらい症状です。手っ取り早く解消したいと思うのは誰でも同じです。そこで、痛み止めが医療現場で活躍することになります。

 かつて病院で出されていた痛み止めの多くは、今は薬剤師のいる薬局でも購入出来ます。読者の中にも、「頭痛や腰痛で痛み止めが手放せない」という方が多いのではないでしょうか。それでは、こうした痛み止めは、安全な薬なのでしょうか?

 今多く使用されている痛み止めの成分は「非ステロイド系消炎鎮痛剤」と呼ばれています。この薬には痛みと炎症に関係のある物質「プロスタグランジン」を抑える仕組みがあります。しかし、プロスタグランジンには胃の粘膜を保護したり、腎臓の血流を保つような役割もあるので、それを抑えることによって胃潰瘍が出来たり、腎臓の働きが悪くなることがあります。

 最近、注目されているのが心臓への影響です。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という専門誌に掲載された論文によると、非ステロイド系消炎鎮痛剤を飲んだ人は、そうでない人と比較して、20%程度心臓病(心不全)による入院が多かったそうです。また、この痛み止めの心臓への影響は、薬の量が増えれば増えるほど高くなることも分かりました。

 痛み止めは必要最小限で使用することと、心臓の悪い方はその使用を控えることが、何より大事なのです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。