独白 愉快な“病人”たち

脳梗塞を経験したシェリーさん 「生きてるだけで丸儲け」

シェリーさん(C)日刊ゲンダイ

■記憶力は落ち、言葉が出ないときもある

 3カ月後、退院してからは地下鉄がダメ。段差につまずくし、視覚が変になり、地下鉄のタイルが湾曲して襲ってくるような感覚になりました。それでもリハビリのために、水泳に1人カラオケ、介護ヘルパーの学校にも通いましたね。

 病院では本を音読するよう言われたのですが、本は苦手。もともと歌手ですし、歌の方がいい。そこで1人カラオケでリハビリしたんです。シニア割で安いし、大声出しても迷惑にならないんです。退院して半年後、アイドル時代の同期に当たる伊藤咲子ちゃんとリリーズの大阪ライブに顔を出したら、咲子ちゃんに「来年、私の40周年があるから歌ってね」とリハビリの目標をもらいました。

 脳梗塞は記憶力も落ちるので勉強が必要な保険の仕事はできない。そこで次は介護ヘルパーになろうと学校に入りました。最初は半身マヒを引きずって、自分の方が介助が必要なくらいでしたけどね。それでも、子供に頼ろうとは思わなかった。倒れた時、娘は海外永住権申請中で、「帰って来なくていい。自分の夢に進みなさい」と断りました。

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