コレステロールや中性脂肪が一定値よりも多い状態を「脂質異常症」といいます。脂質異常症が続くと脂質が血管の中にたまっていき、心血管や脳血管の病気を引き起こす危険があります。
治療には「スタチン系の薬剤」が頻繁に使用されます。スタチンは、肝臓でのコレステロール合成を抑えることで効果を発揮します。人は食事からコレステロールを摂取できますが、それは体内のコレステロールの20%程度です。残る80%のコレステロールは肝臓で合成されるため、スタチンによる治療は効率的であることがわかります。
高齢者のスタチン治療は、「総死亡を15%、冠動脈疾患死を23%、心筋梗塞を26%、脳卒中を24%減少させた」という報告もあります。ただし、副作用には注意が必要です。
中でも、「横紋筋融解症」は危険です。文字通り、横紋筋という筋肉が溶ける病気です。放置すると命に関わる危険な副作用ですが、早めに発見することで重篤化を防止できます。初期症状である「筋肉の痛み、しびれ、だるさ、尿の色の変化(赤褐色)」などに注意しましょう。
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