軽い痛みでも発症…くも膜下出血の“サイン”を見逃すな

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 後頭部をガーンとハンマーで殴られたような痛み――。くも膜下出血は激烈な痛みが特徴とされるが、実は、軽度な痛みで起こるケースもある。かえって見過ごされやすく、要注意だ。

 1年前の「あの日」を振り返るのは、会社員のAさん(58)だ。数日前から頭痛が続き、鎮痛剤を飲んでも治まらない。もともと頭痛持ちで、ある意味で頭痛に慣れてはいた。いつもなら、市販の鎮痛剤を飲めば痛みが徐々に消える。時に1錠では足らず、時間を空けて2錠飲むこともあったが、2日、3日と日をまたいで頭痛が続くのは初めてだった。

 妻からは「病院で薬をもらった方がいいんじゃない?」と言われていたが、仕事で厄介な案件を抱えている時期だったこともあり、病院に行く時間が惜しかった。そのうち良くなるだろうと楽観視して、仕事をこなしていた。

 激痛に襲われて倒れたのは、休日出勤中だった。幸いにも部下が職場にいたことで、速やかに救急搬送してもらえた。検査結果は「くも膜下出血」だった。さらにAさんの運が良かったのは、救急搬送先に脳神経外科の名医が当直でいたことで、すぐに緊急手術が行われた。Aさんは片足の軽いマヒは残ったものの、一命を取り留めた。後に主治医からは、「頭痛が治まらない時点で、病院に来ていれば……」と言われた。

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