役に立つオモシロ医学論文

精神的につらいと「がん死リスクが増加する」は本当か?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 落ち込みや不安など、精神的な苦痛は体の健康面にも悪影響を及ぼすといわれており、「心臓病や脳卒中の発症リスクが増加する」という研究が過去に報告されているようです。また、精神的な苦痛は免疫系にも影響を及ぼし、体の抵抗力を弱めるとも指摘されています。免疫機能が低下すると風邪などの感染症を発症しやすくなったり、理論上はがんの発症リスクが高まることも考えられます。

 そんな中「英国医師会誌電子版」(2017年1月25日付)に、精神的な苦痛とがんによる死亡リスクを検討した研究論文が掲載されました。

 この研究は、英国で行われた16件の前向き観察研究から、16万3363人分の個人データを解析し、精神的苦痛を点数化した指標(0~12点で評価、点数が高いほど精神的苦痛が大きい)と、がんによる死亡との関連を調査したものです。

 なお、結果に影響を与えうる「年齢」「性別」「喫煙」などの要素で統計的に補正し解析しています。

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青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。